映画ファンにとってバラエティ豊かな作品を数多く生み出してきた香港。民主化運動に対する中国政府の対応に将来が不安視されていますが、そんな中でも時代を別の角度から映した傑作が増えています。〈新世代香港映画特集2023〉では映画祭等で高く評価され、さらに興行面でも香港の年間BEST10にランクインした２作品を上映します。
『私のプリンス・エドワード』は現在、最も注目される新人監督ノリス・ウォンによる長編デビュー作です。アラサー香港女性の「偽装結婚」を題材に、監督が同じ女性の視点から綴る物語は世代や国を超えて共感を誘い、中国の批評家が選ぶ中華圏映画の年間１位に選出。金像奬でも新鋭監督賞と音楽賞の2冠に輝きました。
『縁路はるばる』はIT企業に勤める青年がタイプの違う魅力的な5人の女性と知り合うも、なぜか5人ともド田舎に暮らしていたがゆえに香港中を彷徨う羽目に…という設定が秀逸なラブ・コメディ。新世代の実力派俳優達が楽しげで伸びやかな演技を披露し金馬奨にもノミネートされました。観光気分で沙頭角、下白泥、大澳、船灣荔枝窩、長洲、茶菓嶺といった香港僻地の美を再発見するのも一興です。両作を通して新たな香港への旅をお楽しみ下さい。